最高峰の舞台で示した女王の矜持

現役屈指のメンバーが集まった第32回ジャパンカップ。衆目は、世代の女王と時代の王者に集まった。

史上4頭目の三冠牝馬

 ジェンティルドンナは、新馬戦を2着に敗れ、続く未勝利戦で勝利をおさめます。

 年明け、シンザン記念(G3)に駒を進め、牝馬としては13ぶりの勝利。重賞初制覇を果たします。

 前哨戦、チューリップ賞(G2)を4着に敗れたジェンティルドンナは牝馬三冠の1冠目、桜花賞(G1)へ向かいます。

 レースは、後方からの直線一気で勝利。石坂調教師に初のクラシックタイトルを贈ります。

 牝馬三冠の2冠目、オークス(G1)。

 ジェンティルドンナは2着に当時のオークス史上最大着差をつけて勝利します。

 夏を越え、秋の初戦ローズS(G2)を快勝したジェンティルドンナは、牝馬三冠の3冠目、秋華賞(G1)を迎えます。

 ジェンティルドンナはヴィルシーナに僅差で勝利し、アパパネ以来2年ぶりの牝馬三冠を達成し、世代の女王に君臨します。

史上7頭目の三冠馬

 ジェンティルドンナが牝馬三冠を達成する前年、日本競馬史上7頭目のクラシック三冠馬が誕生しました。名はオルフェーヴル。

 オルフェーブルは、皐月賞(G1)を2着に3馬身をつけて快勝。大雨に見舞われた日本ダービー(G1)を泥だらけになりながら力強く勝利します。

 秋の菊花賞(G1)は4コーナーで先頭に立ち、そのまま押し切る圧巻のパフォーマンスで三冠の称号を手に入れます。

 その年の有馬記念(G1)を3歳馬ながら勝ち切り、一躍時代の王者に君臨します。

 翌年の春、阪神大賞典(G2)の2着、天皇賞(春)(G1)の大敗。

 宝塚記念(G1)の復活を経て、秋、ヨーロッパへの遠征が敢行されます。

 フランスのフォア賞(G2)を勝ち、日本競馬界の悲願、凱旋門賞(G1)制覇を狙います。

 凱旋門賞は2着となりますが、日本代表として恥じない堂々とした結果を携えて日本に凱旋します。

最高のメンバーを迎えたジャパンカップ

 三冠牝馬となったジェンティルドンナ、三冠馬であり凱旋門賞2着のオルフェーヴル、ともにジャパンカップ(G1)へ向かいます。

 第32回となったジャパンカップには、錚々たるメンバーが集まります。

 その年の香港で行われたクイーンエリザベス2世カップ(G1)を勝ったルーラーシップ。

 前走、天皇賞(秋)(G1)で日本ダービー以来のG1勝利をおさめたエイシンフラッシュ。

 その年の日本ダービー、天皇賞(秋)にて2着の実力馬フェノーメノ。

 天皇賞(春)で不振のオルフェーヴルを後目に逃げ切り勝ちをおさめたビートブラック。

 前年の天皇賞(秋)でレコードタイムをたたき出し勝利したトーセンジョーダン。

 凱旋門賞でオルフェーブルを下した凱旋門賞馬ソレミア。

 他にも実力馬がそろい踏み、事実上の王者決定戦の様相をみせます。

史上初、三冠馬VS三冠牝馬

 そんな中でも、人々の目は2頭の馬に注目が集まります。ジェンティルドンナとオルフェーブル。

 日本競馬史上初の三冠馬と三冠牝馬の対決です。

 1番人気はオルフェーヴル。2番人気は勢いに乗るルーラーシップ。ジェンティルドンナは3番人気。

 レースはルーラーシップの出遅れから始まります。

 ジェンティルドンナはローズS以来となる先行策を取り3番手。

 オルフェーブルはいつも通りの中団後ろに馬体をおさめます。

 ビートブラックが先頭でレースを引っ張ります。

貴婦人と金細工師、プライドをかけたデッドヒート

  最終直線、リードをとったビートブラックを先頭に、オルフェーブルが外から、ジェンティルドンナが内から先頭を目指します。

 残り200m、ジェンティルドンナの前にはビートブラック、となりにはオルフェーブルがいました。

 このままでは進路をとれないジェンティルドンナ。

 ジェンティルドンナと岩田騎手は、三冠馬に勝負を挑みます。

 オルフェーブルに馬体をぶつけ、強引に進路をとるジェンティルドンナ。

 ぶつけられ、バランスを崩しながらもさらに闘志を燃やし一騎打ちに持ち込むオルフェーブル。

 レースはそのまま三冠馬と三冠牝馬のデッドヒートで幕を閉じます。

 結果は僅差でジェンティルドンナの勝利。

 世代の女王は、時代の王者を下し、一躍時代の女王に名乗りを上げました。

 

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